2023年の幕があけました。年明け早々から来年の話をすると何とかが笑うかもしれませんが、2024年度は、6年に1度の医療・介護・障害のトリプル改定という節目の年。なので今年が具体的な改正内容を決める1年となります。そこで今回は、介護制度の改正について主な論点を整理しておきたいと考えました。政治の意向や関係団体の動きによって変動ありですが、現時点でのまとめです。
まずは、通所介護と訪問介護を組み合わせた新たなサービス類型が登場します。例えば、通所介護の事業所がヘルパーを派遣したり、ヘルパー事業所が通所介護を行ったりすることが可能となります。また、社会福祉法人ではすでに行われていますが、2024年度からは民間介護事業者も財務諸表の公開が義務付けられることになりました。従業員1人当たりの賃金額も公表対象となりそうです。個々の事業者の経営状況がわかるので、サービス利用者が事業者を選択する際に役立ちそうです。また介護助手制度の導入も行われる計画です。そして、今夏に結論と目されているのが老健や介護療養院における多床室からの賃料徴収や65歳以上の第1号被保険者の保険料の値上げ。さらに、介護サービス利用者の自己負担の値上げ。具体的には2割負担の拡大です。現在、サービス利用料は原則1割負担で、一定基準以上の所得の方が2割負担ですが、この基準を変更して2割負担の人を増やそうというものです。今でも自己負担を減らすためにサービス利用を控えている方が多いのに、さらに抑制が増えそうです。ただし、最近の物価上昇に加え今年は統一選などの選挙イヤーなので、先送りが増えるかもしれません。
で、ここからは、次期改定では先送りされそうな情勢となっている論点をみておきます。それぞれ2027年度改定への布石になっていくと思います。まずはケアプランの有償化です。仮に要介護になれば、今は無料でケアプランを作成してもらえますが、これを有料にしようということです。さらに、要介護1と2の人に対する生活援助サービス(例えばヘルパーの家事援助など)の利用抑制。具体的にはこれらのサービスを国の介護保険制度から外して市町村の総合事業に移すというものです。
大幅な人口減少が続く中、2025年に団塊の世代がすべて75歳以上となり、2050年には団塊ジュニア世代がすべて75歳以上となるなど日本の介護問題は深刻さを増します。介護制度の持続可能性をいかに確保していくか。小手先の対応ではこの難局は乗り越えられません。しかし、例えば介護保険の被保険者の年齢を今の40歳から20歳に引き下げる第2号被保険者の拡大という骨太方針は、論点提示のみで、またも本格論議は先送りされました。さて、どうやら国は防衛費の大幅増額に踏み込むようです。介護制度も財源確保が1丁目1番地。消費税含む福祉目的増税など聖域なき異次元の介護改革は待ったなしだと思います。不作為責任のない政治の強力なリーダーシップが待たれます。