福祉でまちづくりを進める
社会福祉法人ヒューマンライツ福祉協会

無料定額介護事業

 「生計困難者のために、無料又は低額な料金で診療を行う事業」(第二種社会福祉事業)は、通称「無料低額診療事業」と呼ばれ、当法人では「ツルミ診療所」で実施しています。生活保護世帯なら医療扶助があるので基本的にご本人が医療費の支払いに困ることはありません。しかし日本では生活保護制度の捕捉率が低く、条件や資格があるのに生活保護を利用していない生計困難者が800万人くらいはいると言われています。また年金等、月々の所得が基準をわずかに超えるために生活保護を利用できない低所得者も多く、日本の相対的貧困率はなんと15%にもなっています(総人口の6人に1人)。

 無料低額診療事業は、そんな生計困難者が医療難民にならないよう行われている事業で、2021年4月1日現在、大阪市では45ヶ所で実施されています(西成区4ヶ所)。全国には732ヶ所あり、病院が367ヶ所、診療所が365ヶ所となっています。まだまだ実施場所は少ないものの、本事業によってひとまずは安心して医療サービスが受けられます。ツルミ診療所では、1ヶ月の収入が生活保護基準の概ね150%以下なら患者窓口負担を全額無料にしています(保険外診療費や薬代は別)。

 一方、介護サービスはどうでしょう。医療と同じように介護も社会保険方式で財政構造が構築されているのに、無料低額診療事業のような減免制度はありません。私の勉強不足なのでしょうが、同じ財政方式でありながら、なぜ介護分野には減免制度がないのでしょうか。おかしな話です。サービス供給側から見れば、利用者が生計困難者の場合、ツルミ診療所の医療サービスは減免料金なのに、介護サービスは一般料金となってしまうのです。仮に要介護2の判定が出た場合、介護保険から給付されるサービス利用限度額は月額約20万円で、全額使うと本人負担は約2万円となります。生計困難者にとってこれは重い負担です。この出費を回避するために、サービスの利用控えをしている高齢者はたくさんいます。本当ならデイサービスに週3回は通いたいところ1回に制限したり、ヘルパーさんに週2回のお手伝いを頼みたいところ1回で我慢しているようなケースです。プランを作るケアマネさんも大変です。

 西成における生計困難者の集住実態や日本の相対的貧困率を考えると、介護にも負担軽減措置(無料低額介護事業)が必要だと思うのです。介護の中で老人保健施設はなぜか減免制度が法定化されていますが(無料低額老健事業)、デイやヘルパーなどの在宅サービスには公的な減免制度はありません。だから私は、地域の総合力を発揮し、第三者的な支払い代行基金のような独自減免システムの創設を検討してきましたが、未達です。所得に関係なく誰もが安心して必要な介護サービスが利用でき、人生の最後をより豊かなものにしていく。西成に住んで良かったなぁと実感してもらえるような福祉でまちづくりの実践を積み上げることが当法人の存在意義であり組織価値です。取り組みはまだまだ続きます。