もひとつ腹落ちしていない名前ですが、今、西成クチナシ倶楽部(仮称)の構想を練っています。高齢者等をコアに、①暮らし、②仕事、③健康・生きがい、④地域貢献の4つの活動を行う生活協同組織です。4分野は現在、別々に企画が進んでいるのですが、倶楽部を設立し、いずれは1つの塊として統合させ、高齢時代が求める新しい社会資源、次代を育む地域力として結実させたいと考えています。
暮らしに関しては、家計支援がベースです。すでに地域で進められている銭湯の利用料割引や無料・低額による医療サービスの提供に加え、新たに、最期くらい独りぼっちにならないようお葬式や納骨等のお手伝いを始めます。天涯孤独な単身者が多住する西成に不可欠だと思うのです。低価格電力のあっせん販売も企画中です。年々、生活保護費が削減される中、少しでも日々の暮らしにゆとりを作り出すアイデアです。電力は再生エネルギーなので、環境問題の解決に寄与するエシカルな消費生活でもあります。いずれは、公益質屋の復活?(生活資金融通事業)なんかにもチャレンジしたいと思います。
仕事支援の取り組みは、形を変えつつも西成では20年以上前から脈々と続いています。月3万円程度の収入を得て、日々の暮らしを安定させたい、たまには孫にお小遣いでもあげたい、元気なうちは働きたいと願う高齢者の希望に寄り添います。今、法人ではこうした高齢労働者のことをビンテージワーカーと呼んで登録を募り、公営住宅の清掃やビルの屋上緑化、介護補助や配食サービスの仕事などに就いてもらっています。今後は仕事の確保が肝ということで、内職あっせん企業とも連携模索中です。
健康・生きがいづくりは、さまざまです。友誼団体のにしなり隣保館では、卓球や社交ダンス、カラオケや歩こう会など、さまざまな取り組みが進められています。当法人でも、地域100歳体操やデイサービス事業、大阪市から公営住宅の一室をお借りして地域サロン活動などに取り組んでいます。注目の主観的健康観も醸成し、西成区の寿命は日本一短いという汚名を返上すべく執念を燃やします。
そして、地域貢献では、ボランティア活動と西成オリジナルの「気配りさん」活動が柱です。ボランティアといっても高邁なものではなく、一人ひとりの趣味や特技をボランティアとして活かすイメージで、決して不足する労働力の代替ではありません。気配りさんは、認知症の人の行方不明、ゴミ屋敷や7040問題など気になる地域課題の発見と専門機関への連絡役を担うおせっかい型貢献活動です。
人生100年時代、高齢期は約30年という長丁場です。ご自身でこうした4つの活動機会を得られる方はいいですが、なかなかそうもいきません。老後生活の社会化というか、現役卒業後の生活を自己責任だけに委ねず、みんなが自分らしい人生を送れるよう倶楽部を作り、4つの活動を縦横に相関させ構造化させるのです。むろん名前は、もっとセンスの良いものに変えたほうがいいかもしれません。