福祉でまちづくりを進める
社会福祉法人ヒューマンライツ福祉協会

コロナ禍ですが‥


 前号では「自助・互助・共助・公助」というテーマで、特に互助に触れたのですが、今号はさらに深掘り。「自助をアシストする互助」について考えてみたいと思います。自分のことは自分で、これが自助の基本なのですが、あえてここでは、自助を貨幣的自助と非貨幣的自助にわけて考えてみます。

 貨幣的自助とは、読んで字のごとく、コストがかかる自助。例えば、要介護になっても金銭的に困らないように、あらかじめ民間介護保険に加入しておくとか防災グッツの備蓄等も貨幣的自助でしょう。非貨幣的は、その逆で、コストのかからない自助活動です。避難ルートを調べておくなどがそれにあたるでしょう。このうち私が関心をもっているのは貨幣的自助の領域。というのも、自助にお金がかかるということは、所得の差によって自助力に差が生ずる構造が作られ、西成のように生活保護世帯や低所得者が多住する地域では、結果として自助力が育たず、危機に脆弱な地域となってしまう恐れを感じるからです。所得差による自助力格差の抑制に向けて何ができるか。難問ですが、解決すべき課題です。

 そこで、社会福祉法を見てみると、第2条7項に「生計困難者に対して無利子または低利で資金を融通する事業(第1種社会福祉事業)」という気の利いた制度があることを知ったのです。これだ!と思い、いろいろ調べてみたのですが、ダメでした。この条文は、社会福祉協議会が現在実施している生活福祉資金融資制度のことを指し、それ以外は想定していないというのです。残念です。この制度が活用できれば融通した資金を原資に自助活動に役立ててもらえるはず。条文をもっと現代的に解釈・規制緩和して、一般の社会福祉法人でも認可してくれれば助かるのですが、前例もなく無理なのでしょう。

 では、所得の格差が自助力の格差にならないようにするために、何ができるのか。社会福祉事業としての認可が無理なら、法人独自の公益事業として資金融通事業を構築できないかを考え始めています。社会福祉法人はもっと地域公益活動をしないさいと国が言っているのだから、これくらいの独自公益事業は認めてもらえるでしょう。具体的には、少額短期を含む民間保険を活用するモデルで、その支払い保険料の融通(貸与・給付)を通じて、さまざまな貨幣的自助をアシストするのです。例えば、病気や要介護時の経済リスクの低減や葬儀費用の調達、認知症等による損害賠償対応などをイメージしています。融通資金は法人の自己資金に加え、企業や団体等から寄付や出資を募って「自助アシスト型互助基金」を組成し、持続可能性も考え、その利子を融通原資に充てるプランです。貸与した場合の返済方法についても密かなアイデアがあり、目下リーガルチェック中。使い道は自由なので、いずれはこの互助基金が今後の地域共生社会づくりに必要な新しい基盤として位置づけられ、住民の共有財産として育てられていけば「互助でまちづくり」の展望はグッと広がると、コロナ禍の閉塞の中で考えてみました。