福祉でまちづくりを進める
社会福祉法人ヒューマンライツ福祉協会

今こそ、ONE TEAM

 世界を席巻する新型コロナ。日本でも緊急事態宣言が発出され、約1週間が経ちました。無症状や経路不明の感染など、かなり手強い狡猾な新型コロナウイルスと私たち人類との闘いです。宣言により、人と人との接触機会を8割減らすことを目標とする外出の自粛や休業要請をはじめ、社会生活にさまざまな制限が加えられました。医療崩壊や感染のまん延を防ぐ緊急措置ですが、すべての人々の命と暮らし、人権を守るため、私たちは、良識に従い、政府要請を受け入れ、懸命に努力を積み重ねています。

 そして今、つくづく感じることは、私たちがコロナとの闘いに勝利するためには自律に根ざした連帯が重要だということです。連帯といっても集会を開いたり、デモ行進したりすることではありません。宣言の趣旨を真摯に受け止め、すべての人たちが、それぞれができる範囲で、しっかりと役割を担い、希望ある未来を共に切り拓こうという意志の絆が重要だということです。私一人くらいなら大丈夫といった楽観や無責任な行動は、連帯を乱すもので、厳に慎まなくてはなりません。きっとお天道様も見逃さないでしょう。世界の人々との連帯も不可欠です。経済・社会ともにグローバルに発達した現代社会では、いくら日本国内でコロナを封じ込めても成果は半分、安心できません。国際連帯の力が大切です。

 また、連帯に水を差す不的確・不公平な緊急経済対策もいけません。困っているのに手当がない。同じように生活が苦しいのに、措置が不公平ではダメ。休業要請へ協力金を出すなら、医療機関など社会機能維持のために事業継続を求めた所には奮闘金があってもいい。また、制度利用のプロセスに内在するリテラシー等の差によって、対策から疎外される人がでないよう万全の対応と配慮が求められます。

 そして、私たちの連帯を最も脅かすのは、コロナ差別です。新型コロナが未知のウイルスであるためか、人々に多くの不安や恐怖を与えています。そこから他人に不寛容になったり、感染者を非難・忌避したりする差別がまかり通れば闘いには勝利できません。感染者が謝罪する必要などありませんし、医療従事者や回復した退院者までが忌避されるなどは論外です。差別を感染させず、確かな情報に基づき考え、行動する。要請への対応を相互にねぎらい、その努力に敬意を払う理性と感性が大切です。

 最後に、私が気になるコロナ対策に、失業率(現2.4%)の拡大回避があります。失業には自殺との強い相関関係があるからです。失業率が1%増えれば、自殺者は2300人も増えると言われています。自粛の程度や期間、経済対策の不調等による賃金不払いや解雇、倒産や廃業等で失業者が増え、自殺者が急増する可能性があります。コロナ被害最小化のためには、病気死亡と同時に自殺死亡の抑制も必要なのです。そのためにも自粛の調整、的確な経済対策やメンヘル対策など総合対応が不可欠です。長期戦です。ひとまずはワクチンや治療薬ができるまで、厄介な新型コロナとの闘いは続きそうです。