すべらな~い話のつもりが、すべってしまいました。昨年末、法人本部と管理職の合同忘年会でのあいさつ。「私にとって今年1年を漢字一文字に表すと『忍』という字で‥」。ここまでは良かった。「‥そして来年の人財マネジメントは『部下は上司の鏡』という視点をみんなで心がけましょう」と呼びかけたのです。パチパチパチパチ。拍手喝采のすべらな~い話のつもりでした。が、なぜか一瞬、場が凍っているのを感じたのです。あれっ?と思いましたが、やりすごしてあいさつを終えました。
懇親が始まり、しばらくすると、隣席に来た管理職スタッフが「さっきのお話しで、改めて背筋がのびました」と言うのです。もしや、と思い、恐る恐る「さっきのあいさつ、『上司は部下の鏡』と間違えてない?」と聞きました。すると「えっ、違うんですか」と言うのです。やっぱり。予感的中。「部下は…」と「上司は…」を聞き違えていたのです。場が凍るのも当然。そこで、ドロシー・ロー・ノルト「子どもが育つ魔法の言葉」という子育て論をアレンジしてつくられた「部下は上司の鏡」についての考察を抜粋引用しました。長くなりますが、とても興味深い内容なので、ぜひ読んでみて下さい。
「けなされて指導されると、部下は、他の社員をけなすようになる/不安な気持ちで指導すると、部下も不安になる/部下を馬鹿にすると、引っ込み思案な社員になる/叱りつけてばかりいると、部下は『自分は悪い社員なんだ』と思ってしまう/励ましてあげれば、部下は、自信を持つようになる/褒めてあげれば、部下は、明るい社員になる/認めてあげれば、部下は、自分が好きになる/見つめてあげれば、部下は頑張り屋になる/分かち合うことを教えれば、部下は、思いやりを学ぶ/やさしく思いやりをもって指導すれば、部下はやさしい社員になる/守ってあげれば、部下は強い社員になる/和気あいあいとした職場で指導すれば、社員は、この世の中はいいところだと思えるようになる」
あらゆる事業の効果測定において顧客満足度はとても大切な基準ですが、このことに大きな影響を与えるのは職員満足度とされてきました。しかし最近は、会社や事業の方向性を物差しとして職員の現状を把握するエンゲージメントの概念が重要だと言われ始めています。ポイントは4つ。①ミッションへの共感度、②会社への愛着度、③同僚への信頼度、④会社への献身度。これらのレベルが高い会社ほど、顧客満足度が高いということです。なるほど、利益を一義的な目標としない社会福祉法人にこそピッタリ当てはまる、また当てはめるべき基準かもしれません。このエンゲージメントレベルを上げる人財マネジメントのコツが「部下は上司の鏡」志向だと思うのです。ツボは自分責任主義です。社会福祉は人がすべてですが、介護市場は未成熟なので、利用者は人(職員)を選べません。だから人財マネジメントがより重要なのです。巳年の本年、脱皮をし、ぜひ実践では「すべらんな~」となるようにしたいと思います。