福祉でまちづくりを進める
社会福祉法人ヒューマンライツ福祉協会

“知覚÷期待=感動”のサービスを


 昨年末から今年始めにかけて、法人では利用者満足度調査を行い、先ごろ調査結果の速報がでました。今回は、以前より設問数をグッと絞り込み、シンプルに3つにしました。①全体的に見て、期待どおりのサービスが受けられたか、②受けたサービスを他の方にも勧めたいか、③サービスを今後も継続して利用したいか。1759人の利用者に調査を依頼し、回収率は75.2%で、1322人の利用者からお声を聞かせていただくことができました。うちご本人回答(ご家族又は職員と一緒に回答を含む)は83%となっています。

 結果をみると、質問1では、期待をはるかに上回るものだったが56%、下まわるものだったが5%、どちらとも言えないが37%。質問2では、他の方にもぜひ勧めたいが58%、絶対に勧めたくない6%、どちらとも言えないが34%。質問3では、今後もぜひ利用したいが78%、二度と利用したくない1%、どちらとも言えない18%。福祉業界ではこういった満足度調査はあてにならないと言われることがあるのですが、私は、掛け値を工夫すれば十分価値のある情報になると考えています。あてにならないと言われるのは、サービスの価格がどの業者も同じ、真の意味でサービスを選択できない(量の不足や情報の非対称性など)などがあるからなのですが、それでもなお、利用者の声をお聞きすることは大切だと考えています。さて、この結果をどうみるか。意見はさまざまですが、大切なことは、結果に一喜一憂することなく、今年より来年、またその次と、いい回答が増えるよう粘り強くサービスの品質改善を継続することです。それが法人のブランドをつくり、ロイヤルカスタマーを広げることにもつながります。

 一般に顧客満足度は、「知覚÷期待」の算式で導き出されます。期待と知覚レベルが同じなら満足度は、可もなく不可もなく、つまり普通ということです。だから、期待以上の知覚をどう提供するか、満足が感動へと高まるようなさらに上のサービスをいかに提供するかが大切です。介護もサービス業の一つなので仕組みは同じです。サービスを利用する高齢者や障害者はサービスにどんな期待をもっているだろうかを想定・確認し、その期待を上回る充実したサービスを提供していく必要があります。福祉は弱肉強食ではなく優勝劣敗。質の悪いサービス事業所は市場から淘汰される時代なのです。

 満足度アップの秘策はありませんが、戦略的アプローチは可能です。調査結果を踏まえ、「期待・仕様・提供・知覚」の4つの間で好循環をつくっていく品質ギャップモデルなどを使って、改善に取り組んでいきたいと思います。前号で書いた職員エンゲイジメントレベルとのクロスもしながら、まずは期待したサービスの再確認からスタートです。期待は常に変化しています。多くは潜在していることが多いのですが、満足を越え、感動や興奮につながる品質の極みは、居場所・出番との遭遇だと思います。