福祉でまちづくりを進める
社会福祉法人ヒューマンライツ福祉協会

すずらん通信 「共通認識を近づけるコツ」

ある高齢者施設でベテラン職員が新人職員に「Aさんを起こしてきて」と伝えました。

ベテラン職員は新人職員がAさんの部屋に入ったのを確認してから朝食の準備を始めました。

しばらくすると新人職員だけがAさんの部屋から出てきます。

ベテラン職員は不思議に思い「Aさんはどうしたの?」

と尋ねると新人職員は「起こしましたよ」とだけ答えて別の業務に移りました。

この後新人職員はベテラン職員に指導されました。

どうしてでしょうか?

 

ベテラン職員の考えでは

《Aさんを起こしてみんなが集まる食堂に連れて来て欲しかった》

一方新人職員の考えは

《「Aさんを起こして」と言われたので、Aさんに目覚めてもらっただけ》

 

こういった考え(認識)の違いはなぜ起こるのでしょうか??

介護の現場ではちょっとしたミスが命の危険に繋がるので、こういった認識の違いによる

ミスはなるべく起こさない様にしなければなりません。

ではどうすれば防げるのでしょうか??

まずベテラン職員の「Aさんを起こしてきて」という言葉は

新人職員には説明が不足していたのだと思います。

ドタバタして忙しい時などは特に指示や説明が不足しがちです。

しかし、ミスを防ぐためには指示や説明は具体的に伝えることが肝心です。

例えば

「冬」よりも「冬の早朝の寒さ」と言った方が相手に

こちらの伝えたいことがイメージしやすくなります。

「辛さ」なら「痛みを感じる辛さ」といった具合です。

抽象的な表現だと言葉は少なくなりますが、指し示す範囲は広くなります。

具体的な表現だと言葉は多くなりますが、指し示す範囲は狭くなります。

初めに戻りますが、ベテラン職員は新人職員にどう指示を出せばよかったのか。

「朝ごはんの時間だからAさんを起こして連れて来てね」

でよかったのではないでしょうか・・・・

「Aさんを起こしてきて」よりも文字数や伝える時間は増えますが、ミスは減ると思います。

777777これが私の思う共通認識を近づけるコツです。