前回は「ヒヤリハットの書き方」をしましたが、今回は「ヒヤリハットの検討」についてです。
事故の予防として書かれるヒヤリハットですが、書くだけでは十分と言えません。
ヒヤリハットの情報をもとに検討して対策を講じることが肝要になってきます。
ヒヤリハットの対策を講じるまでのおおまかな流れですが・・・
【事故一歩手前の事象が生じる(ヒヤリハット発生)】
↓
【ヒヤリハットを書く】
↓
【ヒヤリハットを周知】
↓
【ヒヤリハットを検討して要因を考える】
↓
【ヒヤリハットの対策を講じる(該当する件のみ)】
このような流れになります。
例えば前回挙げたヒヤリハットの
「〇月△日10時にAさんが台所に行こうとしたが、
廊下でつまずいて転びそうになった」
このヒヤリハットを検討していきます
まずAさんがつまずいた要因を考えてみましょう・・・
要因1 建物の構造
段差があったり、床面の材質の影響でつまずく可能性があります。
また手すりが無い場合も転倒のリスクは上がります。
要因2 足の筋力低下
下半身の筋力低下によりつまづく可能性があります。
要因3 視力の低下
足元が良く見えないため、段差などに気づかない可能性があります。
要因4 病気
腰椎椎間板ヘルニア、脳血管障害、変形性膝関節症などの病気の症状でもつまずきがみられたりもします。
このほかにもあるとは思いますが、大体こういった要因が挙げられます。中には「こんなのは考えすぎだ」と言う人もいるかもしれません。しかし、色々な可能性を考えることは大切です。大概は取り越し苦労で終わることが多いですが、万が一ということもあるので頭の片隅に置いておきましょう。
次に対策です・・・
要因1 建物の構造
【対策】
工事などでバリアフリー対応や床材の変更、そして手すりの設置などが考えられます。
要因2 足の筋力の低下
【対策】
運動やリハビリなどが必要なのかもしれません。また杖や歩行器などの使用を検討するのもよいかもしれません。
要因3 視力の低下
【対策】
視力矯正などが考えられます。また白内障の場合は手術なども検討しなければなりません。どちらにしても眼科受診が必要です。
要因4 病気
【対策】
脳血管障害などは命の危険に関わるので、つまずきなどの同じ症状が続くようでしたら病院の受診を勧めてみましょう。
対策を挙げましたが、これらの対策をヘルパーだけで遂行するのは困難です(というかムリ)。各関係機関(ケアマネージャー、相談員、病院など)との協力が必要になってくると思うので、それらと連携した対策を立てていきましょう。
最後に・・・
「ヒヤリハットが沢山あり過ぎて書いていない」や「書く時間がない」という意見を時折耳にすることがあります。実際にヒヤっとしたりする状況が多い場合は、事故になりそうな出来事が常態化してることになるのであまり好ましい状況ではありません。
しかし、ヒヤリハットが沢山あるということはそれだけ改善できる要素があるということと、それだけヒヤリハットへの気付き力があるということにもなるので、ある意味チャンスでもあります。沢山ある中でまず一枚のヒヤリハットを書くことから始めてみましょう。