福祉でまちづくりを進める
社会福祉法人ヒューマンライツ福祉協会

組織目的は互助

 現在の新型コロナウイルス対策をどう考えるかはともかく、古くは自然災害対応、最近では地域包括ケアシステムに関わって「自助・互助・共助・公助」という考え方が提唱されています。自助は自分のことは自分で、互助は隣近所や団体の助け合い、共助は年金や健康保険などの社会保険、公助は生活保護など公的な領域と分類されています。この中で、私は、互助がこれからたいへん重要になってくると思っています。しかも互助は、住民組織やボランティア等による見守りなど地域的な活動がある一方、信金・信組や生協などの広域的で協同組織的なものまで含めると、実に多彩で奥深いのです。

 今号はこの互助について考えてみたいのですが、私が関心をもっているのは、次のようなシンプルなケース。単身世帯でケガや急病が発生した時の家事援助、冠婚葬祭等で遠方に泊りで出かけた際のペットの世話、ひとり親世帯で、親が病気になったときの子どものサポート‥。私的・突発的で、介護保険などの公的・継続的なサービスにはなじまない。前もって準備しておく自助の領域とも言いにくい。発生頻度は少ないが、ひとたびコトが起こるとアシストが必要な日常生活上の一過性の困り事といった分野で、困った時は、あくまで当事者同士、仲間同士で個別・直接に助け合うタイプの互助活動です。

 鹿児島に、事例があります。身寄りのない高齢者に呼びかけ、互助目的の組織をつくり、上記のような「ホント助かる、気が利く」活動を始めておられます。入退院時の付き添いなどもあるようで、月一回のサロン活動で情報交換されています。一般に住民組織やボランティア等による「ご近所の底力」も素晴らしい互助ですが、支える側と支えられる側という一方通行感は否めません。その点、鹿児島のような当事者同士が普段から個別・直接的に支え合い、助け合い、高め合う互助それ自体を目的とする活動は「ありそうでなかった」領域で、住民力を根底から支え、鍛えるたのもしさを感じるのです。

 当法人にも連携している高齢者等の団体があります。自分たちの課題を解決する手法は、行政への要望や社会へのアピール、団体で仕組みをつくり組織的に対応する活動が中心。鹿児島のような互助活動はなく、そもそも互助が目的ではないとはいえ、実にもったいない気がするのです。この際、個別・直接的な互助も模索し、会員のより豊かな暮らしを実現していくことはできないか、一度、相談してみようと思います。というのも、これからの時代、住民力のあり様が暮らしやすさのバロメーターになっていくからです。そうした住民力づくりにも私たちの役割があり、創立25年を迎える地域立社会福祉法人として何かお手伝いができると思うのです。さて、話題の新型コロナウイルス。自助、公助の渦中ですが、もし経路不明感染、無症状感染が事実であれば、検疫・隔離の水際封じ込め対策から診断・治療の発症者対策へ、基本戦略を早く転換すべきだとヤキモキしているのですが、どう思われますか?