この時期になると、居住者様のなかに、食欲が落ちる方がいらっしゃいます。
直接の原因は何だったのか、みんなで話し合ってもわかりませんでしたが・・
気づいたころには食事も飲み物もご自分でとろうとはしなくなっていました。
始めはスタッフも食事を促したりすると少しづつ召し上がられていましたが、
だんだん手も動かされなくなり、食事介助をさせていただくことも増えてきました
食事介助でも食べていただけたらありがたいのですが、だんだん口をへの字に曲げて、
ただ単に首を横にひねるだけで、拒否をすることも面倒がられるようになりました。
家族様も心配して来られて、ご本人の好きな食べ物や飲みものも持ってこられ、少しは食べ
ていただけたのですが、1口2口で顔を背けられてそれ以上召し上がられませんでした。
この間に脱水だけは避けようと診療所へ毎日のように点滴をしてもらいに通っていました。
そんな中、なでしこでもいろいろな行事を行いました。
土用の丑の日にはみんなでウナギのちらし寿司を作ったり、
暑い夏をたのしんでいただこうと花火大会で線香花火や打ち上げ花火で盛り上がったり
雰囲気を変えたり、色々な声掛けをしたりとみんなでいろいろなことをしてみましたが、
改善にはつながらず(><)
スタッフから「手作りの流しソーメンどうやろう」という声が上がりました。
そういえば、昨年にしたときに大変好評だったのです!!
早速コーナンで材料を買って来て、工作し作り上げました。
始めは何をしているのか盛り上がる雰囲気にのまれてキョトンとされていましたが、
いつの間にか目の前に置いてあったいなり寿司が消えていました。そしてだんだんと
流れてくるソーメンにもお箸が出だし終わるころにはお汁も全部飲み干されていました。
この日を境に、飲み物や食べ物もご自分で召し上がることが増えました。
次の日には点滴も要らなくなり、1週間もたつと、いつもの笑顔を見せていただけるように!
何がきっかけで食欲が落ちたのか、また笑顔が戻ったのか、
その真相はわかりませんがスタッフが出勤するたびに笑顔で挨拶して心配して、
たくさん声をかけたことによって、この方の中で、自分の存在が認められたと感じたのか、
自分を肯定する気持ちが溢れたのだと思います。
最近、ユマニチュードの研修を受けて、「見る」「話す」「触れる」ということに
重点を置いたケアを心がけていましたが、それが生きたのか
スタッフみんなの想いが届いたのか、
考えさせられました。