新聞でも大きく報道されていましたが、先ごろ発表された将来推計人口で、今から約30年後の2045年に、西成区の人口は激減するようです。日本は2008年から人口減少時代に入っていて、西成区も減る減るとは感じていましたが、全国が16%の下落に対して、西成区はなんとその3倍、48%も下落すると聞いてビックリしています(大阪府17%減、大阪市10%減)。現在11万人強の人口が6万人弱になるわけで、大阪府内でもここまで下落する地域は少なく、ましてや市内で半減する区はゼロ。逆に、福島、西、天王寺、浪速、北、中央の6区は人口増加が見込まれています。推計人口は、出生率、死亡率はもとより、移動率も加味された統計なので、30年後に半減となると、60年後の2075年には3万人を切り、2100年の西成区人口は1.5万人になってしまうのでしょうか。
しかも西成区の場合、減り方がイビツなのです。一般に、少子高齢社会の人口変化の特徴は、子どもや生産年齢人口が減り、高齢者の人口や比率は増えます。今回発表では、0~14歳の子ども人口は、全国が29%下落であるのに対して、西成区は50%下落。さらに、15~64歳の生産年齢人口では全国が28%下落で、西成区は50%の下落です。下落方向は同じでも、規模が2倍になっています。さらに圧巻は高齢者人口です。セオリー通り全国の65歳以上人口は16%増加するのですが、西成区はなんと44%も下落してしまいます。75歳以上では、全国が40%増加で、西成区は33%下落です。この年齢階層で、転居による減少は考えにくく、かねてから指摘している深刻な西成区の寿命の格差問題が背景にあるのでしょう(最新データでも西成区の平均寿命は男73歳、女84歳で共に全国最下位)。ちなみに、2045年の高齢化率は、全国37%、大阪府36%、大阪市33%、西成区42%となっています。西成区は、全国に先んじて高齢者人口が減るので、高齢化の伸び率は緩やかです。
子ども人口、生産年齢人口はもとより、高齢者人口までもが減少してしまう西成区。今後のまちづくりをどうすすめるか。子育てするなら西成区を合言葉に若者・子育て世帯を呼び込む人口回復型のまちづくりか。それとも人口減なら質で勝負と、人々の自己実現を応援するエンパワーメント支援都市・西成を創るか。あるいは大きく舵を切って、外国人観光客を軸としたおもてなしのまち、外国人と共に暮らす多文化共生の国際都市・西成の実現に活路を見出すか。今、都市制度改革の議論が活発です。大阪市を廃止し4つの特別区を設置する都構想、市を残しまたまま市内を8区に再編する総合区、高度な母都市機能を踏まえて府県レベルの特別市へ格上げ、何もしないで今のまま、など多くの選択肢があります。財政問題や行政効率、住民主権など多面的な議論が必要ですが、今回発表された人口の減少や高齢化、西成区の人口激減問題も論点に加える等、悔いのない泰然たる議論が必要だと感じます。