障害者支援に取り組んでいると、「親亡き後」の問題がよく話題になります。最近では、「亡き後」以前の「認知症後」への不安が目立ってきました。多死社会が進行する中、2025年から本格化する団塊の世代の病気や介護の問題が心配されていますが、このことは、それまで団塊の世代が自宅で支えてきた障害をもつ団塊ジュニアに対するサポート体制が大きく崩れていくことも意味しています。でも今なら、保護者にもしものことがあっても施設入所をチョイスせず、近隣のグループホーム(GH)等に住み替えて、世話人さんの支援をうけながら地域生活を継続することは可能です。ところが、です。
国は2018年度から障害者GHの利用は重度障害者に重点化するようで、軽度の人は一般住宅に住んでもらい、新設される24時間稼働の定期巡回・随時対応型ホームヘルパーが支える構想を描いています。特養など介護保険と同じ軽度外しの障害者版です。国の思惑どおり定期・随時型でうまくいくケースならいいのですが、知的障害など意思表示が苦手、常時見守りなどの継続的な支援が必要なケースはなじまないと思うのです。このままでは団塊の世代と暮らしてきた多くの軽度障害者は、もしもの時の行き場を失ってしまいます。ちなみに、現在GHで暮らす人の7割は知的、2割が精神障害者です。
そこで私たちは、モデル的に始めようと考えている事業があります。通称サショウジュウ。「サービス付き障害者向け住宅(サ障住)」の供給です。一般住宅とGHの中間のような障害者の新たな住まい機能です。ここには生活支援員が常駐なので安心です。ハードは大阪で供給過剰ぎみのサ高住(サービス付き高齢者向け住宅)を利用したいと思っていますが、実質、今はムリです。目的外なので補助金返還になります。GHへの入居制限までに、何とか返還免除制度を作ってもらいたいものです。
さらに次の段階で、一定の要件を満たすサ高住を2011年施行の「住宅確保要配慮者賃貸住宅供給促進法」にもとづくインクルーシブ住宅として指定し、要配慮者(低額所得者、子育て家庭等)の受け皿住宅としても利用していこうという企てもあります。今後、大阪では実施的に要配慮者の受け皿であった公営住宅は新設されませんが、一方で、低家賃住宅へのニーズは減りません。そこで、大阪府内に2万戸(全国20万戸)あるサ高住を活用し、新婚向け、がごとく、要配慮者向け家賃補助制度を創設し適用する。この際、公営住宅政策を現物給付型から家賃補助の現金給付型に転換しませんかという提案です。これによりサ高住は全世代対応型へとその価値を広げ、初期投資なしで、すべての人々が安心して最期まで暮らせる「地域包括支援住宅」が誕生します。幸い、当法人は、大阪あんしん賃貸支援事業の居住支援団体に登録されているので要配慮者の住まいの相談から物件の紹介・斡旋まで可能です。ファイティングポーズは取れています。まずは「サ障住」で蟻の一穴をあけていきたいと思います。