福祉でまちづくりを進める
社会福祉法人ヒューマンライツ福祉協会

20thのゴング


 1995年の年の瀬、今からちょうど20年前の12月27日、当法人は西成で産声を上げました。今年1年、設立20年を契機に各種の取り組みを進めてきましたので、備忘録も兼ねて、今号は、その一端をご紹介します。コンセプトは、「感謝する」「人が輝く」「飛躍を決意する」の3つです。

 まずは「感謝する」。当法人は設立以来、多くの方々に支えられ、励まされ、教えられたからこそ今があり、地域立・市民立の社会福祉法人を標榜しています。今月26日には、その感謝の意を表す集いを、民設民営で新設されたにしなり隣保館で実施します。初代理事長の故・大谷強先生をはじめ、法人運営に多大な功績を残された方々や、日常の業務に温かいお力をいただいてきた地域の方々への功労者表彰のほか、20年を振り返る記念誌も発行します。また、24時間365日、最前線でご苦労をいただいているすべての職員への慰労と感謝の意も込めて、集い2部(簡便なパーティ)も企画しました。

 2つ目は「人が輝く」です。人とは、障害者や高齢者(家族)当事者です。法人の原点である本人ファーストをより明確にしていくことも念頭におきながら、障害者の人権を守る会、介護者の会、認知症高齢者・家族の活動など当事者活動の再開や活性化支援を強化してきました。もう1つの人は、職員です。より働きがいを感じる職場づくりに取り組みました。例えば、マイキャリア制度の導入です。国のキャリア段位制度も踏まえ、職員が将来に向けてどんな成長やステップアップを遂げていけるかの見通しや展望がもてるよう設計しました。職員定着のためのプリセプター制度、ポイント式研修制度やカフェテリア式福利厚生制度の導入、給与改善等にも取り組んできました。今は、コミュニケーションの活性化や、お互いに認めあって伸びあう組織文化の醸成へ向けて承認・表彰制度の導入を検討中です。

 3つ目は「飛躍を決意する」です。具体的には、2016年度を起点とする3ヶ年の第2次中期経営計画の策定です。いわばヒューマン・マニフェストで、サブタイトルを「ありのままが承認される居場所をつくり、役割や貢献を感じる出番をつくる」としました。中間素案では、現行事業の充実に加え、重点課題として、①地域包括支援システムの構築、②発達障害者支援、③認知症高齢者支援、⑤人材育成・確保の4点を設定しています。今後、各方面のご意見をお聞きしながら成案にするつもりです。また、ベタですが、ユニフォームも刷新し、新しいブランドイメージを創っていきたいと考えています。

 貧困・剥奪、失業・無業、病気・障害、暴力・虐待、差別・排除、孤立・無縁‥。今もなお、日本には社会的援護を要する課題が山積し、それらは交錯・凝縮し、集中して西成に現れています。「福祉でまちづくり」の品質と「決して1人にはさせない」への信念、「苦しい道こそ、未来への道」の気概で、難問解決にファイティングポーズをとりつつも、ひとまずは、20歳の門出を祝いたいと思います。