もし私が、大阪都構想に、賛成(○)ですか、反対(×)ですかと聞かれたら、答えは「×」です。都構想の柱は、①政令指定都市の権限と財源を府に譲渡し、大阪市を廃止する、②今の24区を廃止(合区)し、5つの特別区をつくる、③特別区は、都に編入され「指導・助言・交付金」を得ながら区政を進める、④今より大きな権限と財源をもった大阪都が誕生する、というところでしょうか。私はこの④に、違和感や不安感を覚えるのです。ちなみに、大阪は水都ですが、大阪都にはなれないようです。
都構想は、2重行政のムダをなくすためという説明ですが、それだけならここまで大がかりな改革は不要です。広域行政は都、身近なサービスは特別区と言いますが、権限と財源は都に吸収されるので、特別区の当事者性は限定的なのです。確かに今、大阪は変わらなければなりません。しかし、都構想の中央集権性は、地方主権時代の潮流に逆行するガラパゴス政策になりかねないと思うのです。私は、都市の成長と成熟、改革と安定を担いうる統治機構は、権限や財源を限りなく地域や住民の近い方ところに置き、意思決定も住民が自ら行うシステムが重要だと考えています。その意味では、国の30次地方制度調査会答申を受け、2重行政の解消と地方自治の推進等を目的につくられた「府市調整会議&総合区」の方向性に親和性を感じます。よく住民自治と行政の効率性は両立しないと言われますが、昔と違い、地域力向上、新たな公、社会的企業が育てば活路ありです。5月の「えせ住民投票」は、大阪を「集権都市」にするか、「地域主権都市・大阪」をつくる出発点にしていくかを問う投票だということです。
「×」の理由は他にもあります。都構想で大阪の福祉が良くなるのかどうかがよくわからないということです。5月の投票は、やり直しがききません。そんな最初で最後、一発勝負の投票で、よくわからないことに判断を求められるわけで、ここは常識的に考えて、まずは「×」(わからない)と書くのが賢明な選択です。成功する確率や副作用すらわからない大手術にOKを出す患者はいません。それに、公選法が改正され、あと1年も待てば18歳以上の若者にも意見が聞けるのに…、とも思います。ついでに、棄権は賛成(○)につながることも、是非、みんなに知っておいてほしいところです。
仮に投票で、都構想が「○」となれば、巨大な権限と財源を行使できる「大阪都知事」が誕生するわけで、誰が知事になってものその独善や暴走をチェックできるシステムが必要です。本来、議会やメディアがそういった機能・役割を発揮するべきところですが、政治は流動性が高く、メディアは忙しいので、それだけではチェック・牽制機能として不安定です。勇み足かもしれませんが、私の着想は、法治都市として、都構想出発までに、都の憲法に相当する「大阪都基本条例」を住民総意で制定していく必要を感じます。ちょっと、独善・暴走でしょうか…。あと、政令指定都市・堺市の存在も重要です。