4月1日、恒例の辞令交付式を行いました。採用・昇進・異動など、今年は多く、65名のスタッフが対象でした(手交は32名)。「式」というネーミングのせいか、やや厳粛な雰囲気に包まれ、新人からベテランまで、着慣れないスーツに身をまとい、いい緊張感が漂った交付式でした。今号は、その時のあいさつで話した職員に自覚してほしい「3つの責任(緊張)」について紹介します。
1つ目は組織労働者としての責任です。経営の神様ドラッカーよろしく、すべての組織にはミッションがあります。ちなみに、当法人のミッションはソーシャルインクルージョンとエンパワーメントですが、私たちのような非営利組織にとってミッションは、よって立つ基盤、判断の基軸、存在理由そのものです。そうした組織に属し、サラリーをとるスタッフには、ミッションの達成にむけて貢献する責任があるということです。職員それぞれに固有の問題意識はあって当然ですが、組織労働者である以上、組織目標と個人目標を統合させ、ミッション達成へ貢献していくことが求められているのです。
2つ目は、社会福祉法人職員としての責任です。おむつ市場では、大人向けおむつの売上が子供向けを上回るなど、日本はいま、少子高齢化や介護問題が社会を席巻しつつあります。以前なら福祉法人の専売特許であった介護事業にも民間参入が広がり、株式会社やNPO等による事業が展開され、高齢社会を支える大きな役割を果たしておられます。そんな中、私たち福祉法人職員は、民間事業者と同じようなことをやっていてはダメなのです。非課税・非営利団体にふさわしい役割、公益性を踏まえた機能を積極的に担っていくことが求められています。
3つ目は、不作為責任についてです。昨今、企業や行政の不祥事や事件・事故が起こると、組織のトップを中心に不作為責任が問われる時代がきました。「その事故がおこる予見はできたか」といったことが裁判でも争われ、現役責任者はもとより、歴代幹部にさかのぼって罪が問われます。もし予見が可能だったと判断された場合は、事故それ自体の罪と同じくらい、何もしなかった不作為が指弾されるのです。福祉法人も本格的な情報公開の時代を迎え、あらゆることが白日の下にさらされます。コンプライアンスやアカウンタビリティーはもとより、これからは、わかっているのに何もしない不作為も責任として問われることを、職員一人一人が改めて自覚すべきだということです。
もちろん、3つのことは日常不断に自分自身にも言い聞かせています。特に3つ目が重要です。時折、政治も立法不作為を指弾されますが、社会福祉法人も同じ経営環境にあることを自覚しようということです。新人スタッフには、やや厳しいあいさつになったかもしれません。少し反省です。