福祉でまちづくりを進める
社会福祉法人ヒューマンライツ福祉協会

未来へ輝く人間都市

 我々は労働力を呼んだが、やってきたのは人間だった」。50年以上も前に移民国家スイスで述べられた言葉だそうですが、肝に命じなければなりません。先の国会で成立した改正入管法は、問題山積の法律ですが、現下の人手不足を口実に与党が押し切りました。介護分野も外国人労働者に期待が集まっています。しかし、技能実習制度の課題を放置したままの改正入管法では、基本的人権の確保は不安定・不透明で、落ち着いて仕事もできず、結果、肝心の介護の質の確保は困難になるかもしれません。
 労働力人口の減少、3K職場と忌避される介護分野、西成区に対する偏見や被差別部落に対する差別意識の4重苦もあいまって、私たちも人材確保は困難を極めています。すでに法人では大阪の福祉専門学校に通っているベトナム人留学生2名を雇用し、特養現場で頑張ってもらっています。仕事ぶりは抜群で、居住者からも日本人スタッフからもすこぶる評判がいいのです。そんな経験もあり、今度はEPA(経済連携協定)を通じた外国人スタッフの確保に奔走しています。先ごろも、ベトナムで合同求人説明会があり、法人からも現地にスタッフを派遣しました。求人数は4人ですが、ブースにはたくさんの人が来てくれて、結果59人の面談となりました。今後、さまざまな調整・選考を経て、来春には雇用契約を結ぶ運びとなっています。EPAなので、求職者は、N3以上の日本語能力を保有し、ベトナムの看護課程を修了されている優秀な方々のなで安心です。採用後は、法人で働きながら3年間の実績を積み、4年後の介護福祉士試験に合格できなければ原則帰国となるので、お互いに気を抜けません。
 今後、私たちは受け入れに向けて各種の準備を進めていくことになるのですが、そこは、これまでのまちづくりネットワークの力もお借りしながら進めたいと考えています。まずは、仕事の習熟ですが、この分野は法人内で自決するテーマなのでベテランスタッフを配置するなどして対応します。ポイントは日本語学習です。これは隣保館で取り組まれている識字・日本語教室のお世話になりたいし、日常面に関して、新たに「生活講座」の開催も相談します。急病や災害時を含む多言語対応も重要で準備が必要です。住まいの確保も重要です。これも友諠団体が所有・管理するマンションやシェアハウスを賃貸させてもらいたいと考えています。ここ数年、西成区にはアジア系の飲食店や物販店などができはじめ、また、古くから地元の小中学校には国際クラブ(元民族学級)もあり、子育て面でも心強い限りです。
 西成区には、在日コリアンを中心に多くの外国籍住民と共に暮らし、働いてきた誇りうる歴史があります。この経験も武器にすれば、新たな外国人の受け入れはスムーズに進むのではないかと楽観しています。「国際貢献や福祉人材確保のはずが、やっているのは多文化共生のまちづくりだった」となれば苦労の甲斐もあります。息の長い取組みですが、国際都市ニシナリへ、期待が大きく膨らみます。