福祉でまちづくりを進める
社会福祉法人ヒューマンライツ福祉協会

反差別・抗排除

 (仮称)大阪府ユニバーサル就労条例の制定が佳境を迎えようとしています。総合評価一般競争入札制度を軸とした20年来の府の「行政の福祉化」の施策を、行政・企業・府民による「大阪の福祉化」へと成長させたいという意気込みには拍手喝采で、久しぶりに爽快な気分になりました。障害者からすべての就職困難者に支援対象を広げることの明確化、仕事を発注・創出するプレイヤーの拡大、職種や業種の多様化、中間支援組織の指定等を議論する審議会も設置しようという条例素案になっています。
 私たち福祉法人でも、ユニバーサル就労を軸とした生活困窮者支援システムの構築を急ピッチで進めています。就労、生活、住まい、居場所の4つを軸とする総合的なサポート体制を整える計画です。就労では、国の生活困窮者支援事業の1つである就労訓練事業の認可を得て、個々の状況に応じて4段階のステージを設定し支援を行います。生活では、古くからある緊急援護資金や生活福祉資金を積極活用しつつ、大阪独自の生活レスキュー事業(緊急時に10万円以内の現物給付を行う)の活用、地元隣保館で始まった西成くらしセーフティストア(いわゆる無料コンビニ)との協働やNPOフードバンクおおさかさんの物資協力を得て食料品の個配などに取り組んでいきます。住まいでは、住宅確保要配慮者を支援する居住支援法人登録と入居差別をしないセーフティネット住宅の登録を行い、住まいの相談、物件の確保支援のみならず、法人所有物件を活用した住宅斡旋も計画中です。居場所では、小学校区でのコミュニティカフェの開設や釜ヶ崎地区における単身男性高齢者を中心とした居場所と出番づくりに取り組んでいきます。今の高齢者や介護を中心とする地域包括ケアシステムだけでなく、現代社会に生きづらさを感じている人たちを対象とした地域包括支援システムを構築していこうということです。
 ユニバーサル就労という言葉は、なんと、千葉県にある社会福祉法人さんの登録商標で、当然、私たちはその許可(無料)を得て事業を進めています。なぜ、商標登録したのか。真意をお尋ねすると、理念や目的を守るためとのこと。さすがだなぁと感心させられました。少なくとも私たちが使用するユニバーサル就労という言葉は、ユニバーサルデザインのアレンジで、ユニバーサルデザインは、障害者権利条約や差別を告発した全米障害者法(ADA法)と深いかかわりをもっています。当然、バリアフリーやノーマライゼーションとの関係もあります。最近ではダイバーシティやインクルーシブ○○といった表現も広がっていますが、これらの言葉の底流には長きにわたる「反差別・抗排除」の運動と思想が刻み込まれていることを忘れてはならないと思うのです。大阪府のユニバーサル(就労条例)が、単に「普遍的」といった字義的な解釈でなく、反差別・抗排除に根ざした人権確立社会実現への果敢な挑戦なのだというエッジの効いたメッセージとなって、日本中に広がっていくことを願うばかりです。