福祉でまちづくりを進める
社会福祉法人ヒューマンライツ福祉協会

地域包括ケア時代への試金石

 今、学生の就活が真っ盛りです。数年来続いている売り手市場の中、福祉現場は、未曽有の人材不足に悩まされています。昔は、企業が選ぶ側で、学生は選ばれる側でしたが、今は逆。選んでもらえるようアピールするのが企業で、学生が選ぶ側になっています。離職率が高止まりする中、私たちも、若者から選んでもらえる法人づくりに邁進しなければ、労務倒産の可能性も決して否定しきれません。

 一般にビジネス資源は、ヒト・モノ・カネと言われますが、こと、福祉業界においてはヒト・ヒト・ヒトで、人がすべてです。やりたいこと、やらなければならいことがたくさんあるのに、肝心の人が集まらない。全国に377ある介護養成校の生徒はこの10年で半減し、2016年度の定員充足率は5割を切ったそうです。仕方なく老人ホームのベッドを空床にする所も増えてきていますし、私たちも理事会などで、事業縮小・統合・廃止などの議論が続いています。介護分野の有効求人倍率は、全国平均3.6倍、大阪府では4.6倍にもなっています。異業種の大手企業が相次いで介護ビジネスに参入する中、1人の人材を5つの会社が取り合うという壮絶な人材争奪合戦が繰り広げられています。

 一方、現段階で、高齢化によりこれからも膨張し続ける介護需要を支えるだけの人材を確保できる見通しは立っていません。このまま人材不足が続くと介護難民続出は必至なので、処遇改善加算、キャリアパス設計、介護と保育の一本化、無業中の有資格者に再就職支援金を出すなど、国も知恵を絞っています。そんな中、私が最も関心をもってみている制度変更議論の1つが、介護給付の現金化です。

 介護保険は現物給付が原則ですが、人材不足なので、現金給付の選択肢を新設し、そちらを選んだ場合は、そのお金を使ってご自身で介護者を確保してもらおうというものです。資格基準も緩和されるので、多くは家族が介護者となり、実質、家族介護手当の創設となります。現金給付は、家族、特に女性に介護負担を集中させ、介護離職も加速させるので反対という意見。また、介護は専門職なので家族等にまかせると介護の質が低下するという意見もあります。逆に、在宅の現場ではすでに家族介護が支援の前提に組み込まれており、現金給付は、無償で行われている家族介護の価値や苦労を正当に評価することになり、賛成。加えて、介護心中や虐待、ケアラー支援などの社会問題も和らぐという意見もあります。国は、軽度の人は地域住民で、と言いますが、都市部では無縁社会が広がっているので住民力は期待薄です。じゃあ、外国人労働者や介護ロボットの活用を、といっても時間的に間に合いません。さて、どうするか。難問です。私の到達点は、互助。といっても地域でなく同世代間互助。そう、団塊の世代に再登場を願い、老体にムチ打って働いてもらう。労働力人口が減少する、財源も増やしてもらえないのなら、そうしていくほかないと感じます。人手不足と現金給付、あなたはどう思われますか?