福祉でまちづくりを進める
社会福祉法人ヒューマンライツ福祉協会

あなたは何から始めますか?

 障害者差別解消法が始まって、はや半年。どうも盛り上がりに欠けるなぁという気がしています。法律は、行政や企業、団体等すべての事業者に、認知症の人を含め、障害を理由とした差別的取り扱いの禁止を求めていますが、合理的配慮の提供は、行政機関を除いては努力義務になっていることも、盛り上がりに欠ける一因なのかもしれません。コンプライアンスを法令順守と矮小化して解釈するきらいがありますが、正しくは社会的な要請に応えるという意味なので、社会福祉法人をはじめ、公益に携わる者なら、率先して合理的配慮の提供に取り組むことが本当のコンプライアンスなのでしょう。そこで、遅まきながら私たちは、次の3つの立場から活動を組み立て、取り組みを開始することにしました。

 1つ目は、福祉サービスを提供する事業者の立場です。事業の特性上、利用者はほぼ全員が差別解消法の対象者なので、事業の説明、利用契約からサービス提供まで、一連のプロセスにおいて合理的配慮の提供が求められます。例えば、サービス利用契約にあたっての重要事項説明や契約手続きでは、視覚障害者や知的障害者、認知症の人などに、正しく伝わるような合理的配慮がなされているかということなどです。契約は法律上の行為なので文言に制約等があるかもしれませんが、音声・動画など補助資料の作成を含め、相応の工夫が必要です。他にも課題は山積で、総点検の必要性を感じています。

 2つ目は、障害のある人を雇う雇用事業者としての立場です。障害者雇用は法定化され、身体・知的障害に加え、2018年度からは精神障害者も対象となりますが、そもそも、すべての社員が、もてる能力を最大限発揮できる職場をつくることは当然の経営戦略であり、最近では、ダイバーシティなどといって社員の多様性を活かした経営や企業価値の最大化に注目が集まるほどです。私は、ここでのポイントは、これらの合理的配慮が、障害のある社員に対してだけでなく、子育て奮闘中のパパ・ママ、ひとり親世帯、家族に要介護者がいる者、病気と付き合いながら職務に励む者、職場復帰プログラム中の者等、配慮を要するすべての社員に対しても水平展開していくことの重要性を強調しています。

 3つ目は、地域福祉推進団体の立場です。私たちは「福祉でまちづくり」を合言葉に、地域に障害者等の居場所と出番をつくっていくことをミッションに掲げて活動をしています。なので、その地域に障害者等を排除する社会的障壁があるなら、地域住民と一緒になってその問題の解決に取り組むことが私たちの役割だと思うのです。一昔前、バリアフリーチェック行動と称して、車いす利用者等がスムーズに街中を移動できるよう、住民と一緒に鉄道や施設の段差チェック活動などに取り組んだことを思い出します。国が進める地域包括ケアや我が事・丸ごと地域共生社会の実現も、障害者に対する社会的障壁の解決なくして前進はありません。差別解消への道のりは険しいですが、唯々、精進あるのみです。