福祉でまちづくりを進める
社会福祉法人ヒューマンライツ福祉協会

自分のことは自分で決める当たり前

 個人情報の開示をめぐり、FBIとアップルのバトルが白熱しています。テロの容疑者が使っていたスマホの情報を知りたいFBIがロック解除を命令するも、アップルが断固拒否しているのです。テロ撲滅か個人情報保護か。ことの賛否をめぐって州地裁の判断は分かれ、世論も二分しているそうです。

 日本ではいま、唾液などを使った遺伝子検査ビジネスが急速に広がっています。遺伝子は、病気のなりやすさ、体質、薬の効きやすさなどがわかる「究極の個人情報」と言われています。しかし、その扱いを誤れば、結婚や就職、保険加入での差別につながる恐れがあり、「遺伝子差別」を法で規制しておく必要性も指摘されています。一方、遺伝子技術は、難病治療への応用、オーダーメイド医療や創薬などの分野で期待が大きく高まっていて、過度な規制は、遺伝子医療を遅らせるといった意見も出されています。産業の振興や医療の高度化と個人情報保護をいかに両立させるのか。新しいジレンマです。

 昨年9月、個人情報保護法が改定され、これからは、さまざまな個人情報を「個人識別符号」と「要配慮個人情報」に分けて保護するシステムに変わるようです。要配慮個人情報とは「人種、信条、社会的身分、病歴…(中略)…不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するもの」と法で定義され、本人の同意なく利用目的を変更したり、第3者に提供できないルールになっています。遺伝子情報の扱いは政令で決めることとなり、今年1月には、国のゲノム情報タクスフォースが取扱いの意見とりまとめを行うなど、個人情報保護に関する動きは大きく変化しています。

 私たち福祉法人では、事業の性格上、膨大な個人情報を日常的に扱っています。それは氏名・住所といったものから家族構成・所得・病気・障害・死生観など、かなり高度なセンシティブ情報が大量に含まれています。なので、法令順守はもとより、プライバシーポリシーを掲げて、情報の収集、記録、活用、保護に取り組んできました。そしてここ数年、それらをより強固なものにしようと奮闘した結果、今月、プライバシーマークの認証を受けることができたのです。全国に2万弱ある社会福祉法人で12番目、大阪府で初という吉報で、マイナンバーの開始というタイミングともうまく重なりました。
  
 本来ならば、社会的身分や病歴等が公開されても差別されない社会がいいのでしょうが、そう簡単ではありません。広島県中3生の進路自死問題のように、個人情報のずさん管理は、人の命をも奪うのです。遺伝子情報や忘れられる権利、ビッグデータや顔認証システムなど、個人情報はいま、私たちの想像をはるかに超える領域に入っています。法による保護や有効利用など、引き続き、社会の英知を結集させる必要がありますが、その根本には「自己情報コントロール権」の尊重が必須であること改めて確認し、次は地域からも承認が得られるよう個人情報保護の取り組みを強化していきたいと思います。