お子さんの健やかな成長を願い、こどもリハビリテーションセンターでは、理学療法士、作業療法士等が、お子さんの運動発達を軸としたリハビリテーションを行っています。
今回ご紹介するのは「原始反射」と呼ばれる、赤ちゃんの成長に必要な無意識の動きです。この原始反射が適切に現れ、時期に応じて自然に消えていくことが、健やかな運動発達には欠かせません。
原始反射とは、生まれたばかりの赤ちゃんに見られる、自分の意思とは関係なく体が反応する動きです。例えば、
などがあります。これらは、赤ちゃんが命を守るためだけでなく、将来的な運動能力の基礎をつくるために必要なものです。首の座り(定頸)や寝返りといった粗大運動の発達には、原始反射が欠かせず、深く関連しています。
原始反射は、脊髄、脳幹、中脳、大脳皮質といった中枢神経の発達と深く関係しています。例えば、探索反射や吸てつ反射などは脊髄レベルで起こる原始反射です。
一方、ATNR(非対称性緊張性頸反射)やSTNR(対称性緊張性頸反射)、TLR(緊張性迷路反射)といった、運動に関わる反射は脳幹レベルで見られます。
こうした反射は、生まれてから順番に現れ、強くなり、やがて脳の高次機能が発達して必要がなくなると、より下位の反射から自然に徐々に統合(消失)されていきます。反射が統合されると、自分の意志で体を動かす能力が育ち始めます。
代表的な原始反射のひとつに「ATNR(非対称性緊張性頸反射)」があります。これは赤ちゃんの首を右に向けたとき、右手足が伸びて左手足が曲がるという動きです。
この動きがあることで、赤ちゃんは手を曲げ伸ばしする練習をしながら、次第に寝返りなどの運動へとつなげていきます。
もし、反射がしっかり現れていないと、体を曲げ伸ばしする力が弱く、寝返りやハイハイといった動作がうまくいきません。
そのため、赤ちゃんの成長段階に応じて、どの反射がいつ現れ、いつ統合されるかを見極めることが大切です。
発達に課題のあるこどもたちの中には、脳内の神経ネットワークが未成熟だったり、必要のない経路が残っていたりすることで、こうした原始反射が適切に統合されていないケースがあります。
結果として、体のバランスが悪くなったり、動きがぎこちなく不器用になる場合や、感情の制御が難しくなる場合もあります。
こうした課題を解決するために、私たちは原始反射に着目した遊びを取り入れた運動プログラムを実施し、反射の強化・統合をサポートしています。
原始反射の統合時期の目安を現在の年齢が超えているとしても、乳幼児期に獲得できる動きをこれから学んでいくことはとても大切です。
例えば、ATNRを統合するためには、首を動かす動きやプランクのような姿勢でバランスを取る課題に取り組みます。
当事業所で設定している課題は、基礎課題10個、応用課題5個、複合課題4個があります。これらに繰り返し取り組むことで、身体の土台をしっかりと育てていきます。
このプログラムを続けることで、姿勢保持、寝返り、ハイハイ、つかまり立ち、そして歩行といった発達の流れがスムーズになり、将来的にスポーツや学校生活でも困らない基本的な運動能力が身につきます。
原始反射は、赤ちゃんの命を守るだけでなく、運動発達の道標にもなっています。適切な時期に現れ、自然に統合されていくことで、こどもたちは自分の体を自由に動かせるようになります。
そして、私たちのリハビリでは、この原始反射の考え方を基にした、専門的かつ実践的な支援を行っています。 「動きがぎこちない気がする」「寝返りやハイハイがうまくできない」など、気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
お子さまのペースに合わせて、一緒にステップアップを目指していきましょう。
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