福祉でまちづくりを進める
社会福祉法人ヒューマンライツ福祉協会

運動発達支援が必要となる理由とバランスボール運動のご紹介【こどもリハビリテーションセンター】

お子さんの健やかな成長を願い、こどもリハビリテーションセンターでは、理学療法士、作業療法士が運動発達を軸としたリハビリテーションを行っています。

今回は、運動発達支援が必要となる理由と、親子で一緒に楽しめる、効果的な運動プログラムの一つである「バランスボール運動」についてご紹介します。

目次

  1. 運動発達支援を行う必要性
  2. なぜバランスボールを使った運動が効果的なのか
  3. バランスボール運動の方法

1.運動発達支援を行う必要性

お子さんが元気に動き回る姿を見るのは、保護者の方にとって何よりの喜びですよね。

運動発達とは、赤ちゃんが、歩いたり走ったり、ジャンプやケンケン、スキップができるようになるまでの、運動能力が段階的に発達していく過程を指します。

運動の発達は、言語や社会性の発達とも深く結びついており、これらの発達は互いに影響し合いながら発達していくと考えられています。そのため、単に体を動かすだけでなく、言葉の発達や友達との関係など、こどもの成長全体に深く関わっています。

運動発達が気になるお子さんによく見られる特徴として、以下の点が挙げられます。

  • 筋緊張の低下: 腹筋などの体幹を支える筋肉が弱く、背中側の筋肉に頼って姿勢を保とうとするため、猫背や反り腰になりやすい状態です。
  • 扁平足の期間の長期化: 足のアーチが形成されにくく、足のアーチが平らになっている状態で、つま先や足部の使い方がぎこちないため、転びやすくなったり、疲れやすい状態です。
  • 反張膝: 太ももの前面の筋肉(大腿四頭筋)の力が弱いため、膝が伸びきった状態になりやすく、関節への負担が大きくなる状態です。

これらの特徴は、多くの乳幼児に見られますが、成長とともに自然に改善されることが多いです。

しかし、成長してもこれらの特徴が残ってしまう場合、姿勢の崩れや関節への負担が増大し、将来的な健康に影響を与えるだけでなく、学習や生活に様々な困難が生じる可能性があります。

例えば、姿勢の不安定さから集中力が途切れたり、 手先の器用さを要する活動が苦手になるなど、日常生活に様々な影響が現れることがあります。

2.なぜバランスボールを使った運動が効果的なのか

これらの問題を改善・予防するために、当センターでは運動プログラムのひとつとして、バランスボールを使った運動を取り入れています。

なぜバランスボールを使った運動が効果的なのか?

それは、体幹を安定させるための筋肉を鍛え、その使い方を学ぶことができるからです。

体幹は、私たちの身体の土台であり、様々な動作の基礎となります。こどもの身体は、まず体幹が安定し、その後手足が自由に動くようになるという発達の順序をたどります。

そのため、体幹の筋肉が弱いと、姿勢が悪くなったり、動作がぎこちなくなったり、転びやすくなったり、集中力が続かないといった問題が起こる可能性があります。

また、体幹の筋肉が十分に発達していても、それをうまく使うことができなければ、全身の力を効率よく使うことができず、結果として、力加減を調整するのが難しくなってしまいます。

例えば、軽く肩をタッチしようとしたつもりが、相手には強く叩かれたように感じられてしまうといったことが起こる場合があります。このような状況は、お子さんの対人関係や自信にも影響を与える可能性があります。

バランスボールは、不安定な面の上で体を支えるという特徴があります。このため、バランスボールを使った運動を行うことで、自然と体幹の筋肉が鍛えられ、全身の協調性が向上します。遊び感覚で楽しく運動できるため、子どもたちの意欲を高めることもできます。

それでは、バランスボールを使った運動の具体例をご紹介します。

3.バランスボール運動の方法

こどもと楽しむ!バランスボール運動

こどもは「楽しいこと」を大きな原動力に成長します。

遊びを通して自然と体を動かすことで、身体の使い方を学び、心も体も健やかに育ちます。

そこで、今回は、親子で一緒に楽しめるバランスボールを使った運動をいくつかご紹介します。

グラグラゲーム

準備: バランスボールを床に置き、子どもが安全に座れるようにスペースを確保します。

スタート: こどもにバランスボールに座ってもらい、両足を浮かせてバランスをとらせます。大人は、こどもの腰の少し上あたりを両手で支え、バランスを補助します。

バランスに挑戦: 大人は、前後左右にゆっくりと身体を傾け、バランスボールを揺らします。こどもは、体幹を使ってバランスをとり、落ちないようにします。

応用編: バランスが安定してきたら、キャッチボールを取り入れてみましょう。ボールを投げる動作やキャッチする動作を通して、全身を使った運動になります。キャッチボールを取り入れることで、運動の幅が広がり、より楽しく取り組めます。

みんなでバランス遊び

準備: バランスボールを人数分用意し、参加者全員が安全に座れるように、十分なスペースを確保します。

スタート: 2人一組になり、それぞれバランスボールに座ります。向かい合って座り、お互いの手をしっかりと握り合いましょう。

バランスに挑戦: 一人が相手のバランスボールの上に片足を乗せます。もう一人も同様に対側のバランスボールの上に足を乗せたら、スタートです。お互いの手を引っ張り合いながら、バランスを保ちましょう。

④ 人数を増やして: 3人以上で輪になって行うこともできます。この場合は、隣の人と手を繋ぎ、バランスボールの上に足を乗せます。

【運動を行う上での留意点】

  • 声かけ:どもを励ましながら、安全に注意を促す声かけを心がけましょう。例:「ゆっくり座ってみようね」「ふわふわ気持ちいいねー!」「船に乗るよー!」「大きな波が来たよ!バランスを崩さないように!」「すごいね!バランスがいいね!」「どんどん上手くなってるね!」「すごいね!○○できたね!」「また一緒にやってみよう」など。
  • 体幹を意識: バランスを保つためには、体幹をしっかり使うことが大切です。お腹に力を入れて、体の中心から支えるように意識しましょう。
  • 安全第一: 遊び感覚で楽しく運動できることが、バランスボール運動の魅力です。しかし、安全に配慮することが大切です。無理のない範囲で行い、お子さんの様子を見ながら進めてください。
  • 専門家への相談:不安な場合は、理学療法士・作業療法士などの専門家にご相談ください。

【まとめ】

今回ご紹介したバランスボールを使った運動は、運動発達を促すための取り組みの一つです。

運動の発達には、同じ動きを繰り返し行うことで、身体の使い方を覚えることが大切です。

今後も、ご家庭で手軽に取り入れられる様々な運動をご紹介していきますので、ぜひお子さんと一緒に楽しんでみてください。

さいごに

運動発達は、お子さんの成長にとって非常に重要な要素です。お子さんの成長が少し気になる、というケースもあるかもしれません。お子さんに以下の様子が見られることがあります。

  • 姿勢が気になる: 猫背気味だったり、おなかが出ている、反り腰になっているなど、姿勢が気になる場合は、体幹の筋肉が弱っている可能性があります。
  • 歩き方が気になる: つま先立ちで歩く、足を引きずる、よく転ぶなど、歩き方に特徴がある場合は、足の筋肉や関節の柔軟性が不足している可能性があります。
  • 遊び方に特徴がある: お友達と元気に遊ぶのが苦手、集中力が続かない、運動遊びを避けるなど、遊び方に特徴がある場合は、運動の発達に遅れがある可能性があります。

これらの特徴は、必ずしも運動発達の遅れを意味するわけではありません。しかし、気になることがあれば、当センターにご相談ください。

お子さんの状態を詳しく評価し、適切なアドバイスや運動プログラムをご提案させていただきます。

お問い合わせ先

こどもリハビリテーションセンター

~随時見学・体験を受け付けています。お気軽にお問い合わせください。~

〒557-0025 

大阪市西成区長橋2-5-29 ツルミ診療所4階

TEL:06-6568-5757

こどもたちの笑顔が、私たちの活力です。療育の様子を、たくさんの人に届けたいと思っています。お友だち登録をよろしくお願いします。

友だち追加