福祉でまちづくりを進める
社会福祉法人ヒューマンライツ福祉協会

今月のイチオシVol.30!ともに暮しをつくる~グループホームなでしこ~

認知症のご高齢者が
家庭的な環境の中で暮らすグループホーム。

アルツハイマー病に代表される病は、
それまでの人生史で獲得してきた、その方の能力や宝物を、
一つひとつ、失っていく過程とも言われます。

友人、家族、ご近所づきあい、買い物・・・
失うもの、出来なくなることが増えていく中、
それでも多くの場合に残される、その方の力。
それは何かと言うと・・・

ご家庭の中で、妻として母として、やり続けて
その手が覚えている、記憶。それは家事であることが多いです。

毎日の暮しで、必ずこなさなくてはならない、
食器洗い、洗濯物干し、お掃除。

職員にとっての雑用が、入居者さまにとっての日課になり、
職員の感謝が、入居者さまにとっての役割、居場所へ。

人は望まれることで、心の隙間を埋めて、
生き生きするのだと感じます。

お昼ご飯後には、必ず「外へ行くわ」とそわそわする女性には、

お味噌汁づくり。
自宅では、亡き旦那さまのお食事を毎日つくり、
お世話をする自分が好きだったという。

アクもとり、その方のご家庭のだしの取り方で。

家族とは違うけれども、
職員やご入居者さまに「おいしい」と喜ばれ、
「帰りたい」気持ちは消えていく。

あるタイプの認知症では、「歩きたい」という気持ちを、
身体がへとへとになるまで抑えられない入居者さまもいる。

ご本人の強みを生かせるグループホームさんで、
と介護老人健康保健施設から託された、入居者Aさま。

さっそく、その方の昔の暮らしぶりを聞き取り、
食器ふき、お皿洗い、洗濯物たたみ、折紙・・・

グループホームの介護職は、
暮しの中にある家事や仕事に
「やること」「できること」
を見つけ出し、ともに暮らしをつくる名人です。

時には、毎朝いれるコーヒーを、
豆から挽いていれてみたり。

季節ごとに、はり絵をしてみる。
一枚いちまい、ちぎっては貼るうちに、

「あ、桜の木いやな」
「春らしなあ」

と、入居者さまの気持ちは、季節へ、外へ。

夏祭りでも、
主役は入居者さま。

毎日の単調に見える暮しにも、行事の中にも、
それぞれの入居者さまに合った「役」を見つける。

ありあわせの物で、介護職と入居者さまが、
ともにその方が輝ける暮らしをつくっていく。

グループホームなでしこ の目指すところです。