福祉でまちづくりを進める
社会福祉法人ヒューマンライツ福祉協会

2類から5類へ

 2020年1月、日本で初めて新型コロナウイルス感染症が確認されてから早くも3年が過ぎ、4年目に突入しました(2月末の死亡者数は累計約72500人、うち7割以上が70歳以上の高齢者)。新型感染症という未曽有の出来事に政治や経済、社会は混乱し、私たちの生活も一変しましたが、ここへきてようやく国のコロナ対策基本方針が見直されることになりました。ただ、この点に関する情報が錯綜している気がするので、私たちの日常に関係の深い4つの変更点について確認しておきます。

 まず、来る5月8日から、感染法上の位置づけがSARSや結核等に該当する「2類(相当)」から季節性インフルエンザ並みの「5類」に変更されます。これに伴う変更点の1つ目は緊急事態宣言やまん延防止措置等の自治体による行動制限がなくなります。患者や濃厚接触者に対する入院勧告や自粛要請もなくなります。2つ目は医療機関の対応が変わります。これまでは指定された病院等による対応でしたが、これからは原則すべての診療所、病院で治療をうけることができるようになります(但し、受入れしない医療機関もあります)。3つ目はワクチン接種や医療にかかる経費が公費負担から自己負担となり通常の健康保険対応になります。ただし、ゾコーバ等の高額な医薬品やハイリスクな人へのワクチン接種費用等は当面公費負担が続く予定で、今後、段階的に自己負担化が進んでいきます。そし4つ目はマスクの着用問題です。これまで屋外ではマスク着用は自由でしたが、3月13日からは屋内外とも個人の判断となりました。ただし病院や高齢者施設等では着用が推奨されています。他にも訪日外国人に対する水際対策も全面撤廃となり、各種イベントや旅行における制限も撤廃される見込みです。

 国の方針が変わったからといってコロナウイルスがなくなる訳ではありませんが、当法人でも面会のあり方などこれまでの感染症対策の取り組みを見直す議論を始めています。基本的に規制や制限緩和には賛成ですが、国の新方針により感染症は広がりやすくなるので、高齢者や基礎疾患のある方が多い私たちのような医療・介護の現場では逆にリスクが高まります。また、従来の季節性インフルエンザと比べるとコロナは感染力が高い(重症化率や致死率は低い)という特徴を踏まえた対策が必要です。また、オミクロン株以降は、エアロゾル(空気感染)が主な感染ルートであることにも注意が必要です。

 落としどころは、すでに取り組んできた季節性インフルエンザの感染症対策+αだと思います。まったく同じではダメだし、過度な規制や制限では現場が回らず、患者等への忌避や偏見、差別を助長するので間違っていると思います。コロナだけでなく、これからも未知の感染症は起こります。これまでも繰り返し言ってきましたが、常に法人組織のレジリエンスを磨き、こうした不確実な出来事にも対応していけるようネガティブ・ケイパビリティを備えていくことが必要だと改めて痛感しています。