福祉でまちづくりを進める
社会福祉法人ヒューマンライツ福祉協会

鶴見橋デイサービス S様についてのお話

鶴デイからのトピックスはS様についてのお話(^^♪

昨年の夏、熱中症で入院されたS様についてお話します。

退院後、発語もなくなり、コミュニケーションが取れなくなり、徘徊等の対応でご家族様に大きな負担がかかっていました。

 

そこで、日中デイサービスで過ごしていただくことになりました。

これには二つの目的があります。

一つ目はデイサービスでのいろいろな体験や外部からの刺激で、以前の記憶や言葉を思い出してもらうこと。

二つ目はご家族様の負担の軽減です。

 9月末、デイサービス体験利用の日がきました。

ご家族の希望で徒歩送迎を行いまいました。

シルバーカーを押しての歩行は問題ありませんでした。

発語はありませんでした。

入浴の声掛けをして風呂場に誘導しましたが、脱衣を強く拒否されました。

 

しかし、指先や爪が汚れていたので、手浴・足浴のみ行いました。

スタッフが優しく手と足を洗うと、気持ちよさそうな表情をされました(*^^*)

 

座席中はスタッフが横について体操や手遊びを促すも長続きせず、すぐに立ち上がってフロア内を歩きまわることの繰り返しでした。

昼食は刻み食を全介助で全量摂取。

食欲は旺盛で、好き嫌いもなさそうでした。

 

 

10月より本格利用開始となりましたが、来所時のバイタルを強く拒否され血圧を測ることができませんでした。

入浴も体験時と同様で脱衣を拒否されたため手浴・足浴のみの対応となりました。

 

 

エレベーターが気になる様子で何度もエレベーターの前へ行ってはエレベーターのドアを開けようとされるようになりました。

エレベーターに乗り込むと危険なので、ボタンを押すことができないように、ボタンの上に布をかぶせてボタンが見えないように工夫しました。

 ご利用3回目に帰宅願望が強くなり、「送って、送って」とスタッフにおっしゃるようになりました。

ついに言葉がではじめました(*^^)v

送るまでスタッフの手を引っ張って離さず「送って」を繰り返し、自分の希望をアピールできるようになりました。

デイサービスで過ごすことで、何かしらの刺激があったと思われます。

ご利用5回目には来所を拒否するようになり、娘様がデイまでついてくることが多くなりましたが、デイスタッフに自分の思いを伝えるために発語も増え、少しコミュニケーションが取れるようになりました。

血圧も測らせてもらえるようになり、改善の兆しが見え始めました。

ご利用8回目には帰宅願望がますます強くなりましたが、時計を見せて1時30分になったら家まで送りますと説明すると、「1時半まで」といいながら着席されていました。ご家族様に報告すると、以前も時計は読めていたとのこと。

拒否はあるもののコミュニケーションが取れるようになり、ご自宅の様子も落ち着いているとのことで家族様にも喜んでいただいていました。

このまま順調にいけば、入院前の状態に戻れるのではと思っていた矢先、体調不良でデイサービスを3回お休みされました。

休み明けに来所されたときには、かなり強い拒否が見られ、スタッフ一同、また利用開始時に戻ってしまったのではないかと落胆しました。

しかし、ご家族様の思いは違っていました。

「行きたくない」も意思表示の一つ。デイサービスに行くようになってから言葉も出るようになり、コミュニケーションが取れるようになった。そして、生活リズムが改善されたことにより、ご家族様の負担も以前ほど大きくなくなった。今後は、ご家族様でS様のペースに合わせて介護していくとの申し出があり、デイサービスを卒業されることとなりました。

デイサービスを利用することによりご家族様やS様にとっては大きな一歩につなげる事ができて良かったです。

ご自宅の周辺をシルバーカーを押して元気に散歩されているS様をお見かけし、スタッフ一同喜んでいます。