福祉でまちづくりを進める
社会福祉法人ヒューマンライツ福祉協会

新しいコロナパッケージが必要

 今月の実証実験を経て、11月から新型コロナ対策の「ワクチン・検査パッケージ」が本格化していきそうです。かねてから私はワクチン接種証明を使って施設の利用などに差異等を設けてはいけないと言ってきました。そもそも接種証明は人に感染させないことの証ではないし、すでにブレークスルー感染まで起きています。その意味で今回、検査が選択肢として用意されパッケージされたことには安堵しましたが、PCRなどの検査にも多くの課題があります。国も「個人が他者に二次感染させるリスクが低いことを示す仕組み」としてパッケージの活用を促す一方、本人感染や二次感染させないことの「完全な保証にはならない」とその「限界」も周知するように、と両面の必要性を訴えておられます。

 私は、ゼロコロナ社会などというものは実現不可能という考え方なので、社会がある程度のリスクを許容しながら社会経済活動を回復させていく。その手法としてパッケージを活用することはアリだと思っています。できれば、身近な医療機関で経口治療薬が簡単に手に入る段階になってからスタートさせるタイミングがいいなぁとは思いますが、そこまでは待てない。これ以上、倒産・失業・自死者を増やせません。しかしです。心配性の私は、ワクチン未接種の人がスムーズに検査を受けるのかどうかが気になるのです。パッケージから漏れ落ちる人を出さないよう、さらなる対策が必要だと思います。

 まずは費用の問題。ワクチン接種は現段階では無料ですが、検査に関して国は「基本的に公費投入しない」と説明しており、受検には3千円程度から数万円の費用の捻出が求められます。もちろん1回では済まないので出費はふくれます。次に、陽性になった時の不安です。検査で陽性判定が出れば症状の有無にかかわらず10日間程度の隔離措置が行われます。正規雇用の人なら大丈夫かもしれませんが、時給で働く非正規労働者等が賃金カットされた場合への補償は大丈夫なのでしょうか。雇止め対策も不可欠です。また、隔離中の子育てや介護は誰が助けてくるのでしょうか。さらには、先般も就活中の学生が検査で陽性となり内定が取り消されたとの報道がありましたが、陽性者に対する差別や偏見、忌避や排除は相も変わらず社会にはびこり、人々を苦しめ続けているのです。検査を受けられない、受けたくないこれらの背景や課題をきちんと手当しないとパッケージは絵に描いた餅となってしまいます。

 検査費用の補助、賃金等の補償、子育てや介護のフォローアップ、差別の解消…。今の「ワクチン・検査パッケージ」にこれらの対応を加えた「ワクチン・検査・支援パッケージ」をぜひ用意してもらいたいものです。まもなく総選挙。誰もが安心して検査が受けられ、すぐに医療につながることができるウィズコロナの社会づくりはこれから。本丸である医療制度の抜本改革をはじめ、新型コロナの知見を得た感染症との総合的な共生戦略を提案してくれる政治家や政党に一票を投じたいと思います。