福祉でまちづくりを進める
社会福祉法人ヒューマンライツ福祉協会

リスクとベネフィットで考える

 大阪が新型コロナ「まん延防止等重点措置」の対象地域に指定され、5月5日まで不要不急の外出自粛や飲食店への時短営業要請などが行われています。足元では変異株への脅威が広がる中、終息への期待はやはりワクチンでしょう。今号はこの新型コロナワクチンについて考えてみたいと思います。

 まず、これまでの感染状況ですが、国の報道発表をもとに東洋経済オンライン編集部がまとめたデータを基に今年3月31日までの約1年間の状況を確認してみました。全国の陽性者は約47万人で、人口1万人当たりの陽性者数は37人。これを年代別にみると80代以上は34人、70代では23人であるのに対して、20代では81人と最も高くなっています。陽性者のうち死亡者数は8447人で期間中の死亡率は1.8%となります。これを年代別にみると、80代以上では14.2%と最も高く、70代で5.3%、60代で1.6%と下がっていきます。逆に、20代の死亡率は0.003%、未成年者(10代以下)では0%となっており、若年層の死亡リスクはそれほど高くありません。全般的に見て、若年層は他の年代に比べて陽性率は高いものの死亡率は低いということが言えそうです。

 こうしたデータも見ながらワクチンについて考えてみました。これはあくまでド素人の私見で、変異株の動向を考慮していないこと、接種は個人の意見が尊重されることが前提です。まず意見の第1は、錯綜する情報を俯瞰的にみると、コロナワクチンの有効性は高く、WHO等も推奨しており、先行接種国でもアナフィラキシーをはじめとする短期的な副作用は少ないので、基本的にワクチン接種は望ましいのではないかと思います。ワクチン接種にゼロリスクはないので、リスクとベネフィットのバランスで考えることが重要です。例えば、車の利用には事故リスクはありますが、それを承知の上で多くの人が車を利用しているのと似ています。第2は、今回のワクチンは中長期の安全性が不透明であることを理解して選択すべきだと思います。なので、子どもや妊婦さんは慎重に判断した方がいいと思います。ワクチン被害には何十年もたってから副作用が顕在化する事案もあるので軽んじてはいけません。第3は、先に見たデータからも若年層はそもそも死亡率が低いので、ワクチン接種によるベネフィットが少なく、中長期の安全性が不透明であることも踏まえて選択する方が合理的だと思います。ただし、若年層でも家族に高齢者がいる時や医療・介護現場などで勤務するなど、高齢者と濃厚接触する可能性の高い方は、接種を選択しても良いのではないかと思います。それなりのベネフィットがあるからです。

 これから日本のワクチン接種は本格化していきます。3点のオーソドックスな私見ですが、あなたはどうお考えですか。ところで「止まない雨はない」などとよく言われます。ワクチンも重要な切り札ですが、長期化するコロナ閉塞を打開するためにも一日も早い治療薬の登場を願う今日この頃です。