福祉でまちづくりを進める
社会福祉法人ヒューマンライツ福祉協会

2020年のコロナ備忘

 今月4日、厚労省から2020年の人口動態統計(概数)が公表されました。出生や死亡、婚姻や離婚などの1年間のデータが集計されています。普段の私は、こうした統計はあまり見ないのですが、2020年は、通年の死亡者数に加え、新型コロナの関係でたくさんの尊い命が失われたこともあって、どういった結果になっているのかが気にかかり、備忘も兼ねて死亡動態の概数を拾ってみました。

 まず死亡者総数ですが、2020年は137万2648人となっており、2019年と比べ0.6%(8445人)減少していました。しかも、減少となったのは10年ぶりだそうで、狐につままれた感じです。特に比率が減っていたのはインフルエンザによる死亡者で、2020年は954人で、2019年の3575人と比べ73%(2621人)も減少していました。インフルエンザや肺炎を含む呼吸器系全体の死亡者は、2020年が17万2704人となっており、2019年の19万3234人と比べ11%(2万530人)も減っています。さらに、感染症全体でも死亡者数は減っていたのです。

 これは一体どういうことなんでしょう。2020年は新型コロナという新たな疫病によって、たくさんの人が亡くなって大騒ぎしていたのに、全体としてみれば死亡者数が減っている。一般的に死亡者数が減るということは良いことですが、あまり報道はされていません。ではなぜ減ったのか。現時点で原因は不明です。未知のウイルスに社会全体が恐怖したが結果としてそれほど死亡者数は多くならなかった一方、3密回避、消毒、マスクなどの感染症対策や緊急事態宣言による人流の抑制などが、新型コロナ以外の病気を減少させたのかもしれませんが、エビデンスはありません。もちろん新型コロナの死亡者数が増えたのは今年に入ってからなので、来年の統計もあわせて見ていく必要はあります。また、2020年の緊急事態宣言は、社会・経済活動が強く止められていたので自殺の問題が懸念されていましたが、結果、2020年の自殺者数は2万222人で、前年から4%(797人)増えていました。

 こうした死亡者情報に加え、そもそも新型コロナは相対的にはさほど深刻な感染症ではないのに、マスコミが執拗に恐怖を煽り、マスク警察などの異様な同調圧力が社会に蔓延し、人災とも言える医療崩壊が声高に叫ばれ、ついに政治の世界でも法による私権制限の議論が過熱するなど、対応が過剰すぎるという指摘が多数ありました。確かに、新型コロナで尊い命が奪われましたが、5年後、10年後に振り返ってみたときに、2020年は死亡者総数が10年ぶりに減少、インフルエンザ死亡が著減し、肺炎や感染症による死亡者数も減った年だったという事実は確認しておく必要があると思います。まぁ当面はワクチン接種に集中です。所得や情報リテラシーの格差等によって接種に格差が生まれないよう、また、希望者のすべてがスムーズに接種できるようアシスト活動を進めていきたいと思います。