福祉でまちづくりを進める
社会福祉法人ヒューマンライツ福祉協会

歩行器を使っただけで・・・

こんにちは、ヒューマンケアプランセンターです。

寒くなってきましたね。
私は、暑がりの寒がりなので(って、ワガママなだけ?)過ごしやすい季節が短いです。

ご利用者様であるI様の、担当となって1年が経ちました。
最初は、言語障害があるためか、なかなか話をしてもらえず、簡単なジェスチャーで
「良い」「ダメ」程度の意思表示のみで、代わりに奥様が対応をしてくれていました。
訪問中、テレビの画面ばかりを見ておられ、私の顔はあまり見てもらえませんでした。

それでも月1回の訪問時に、必ずI様に話しかけ、ジェスチャーも交えながらの会話を
試みていきます。
テレビの画面ばかりを見ておられるのですが、私が大げさなほどのジェスチャーをすると、
チラッと見てくれるように。
この頃は、週2回のデイサービスと、週1回のヘルパーさんとの買い物での外出のみ。
その予定も、デイサービスには週1回しか行かず、ヘルパーさんとの外出もなかなか行かず。
ヘルパーさんが来ても、横になったまま起きてこないときもありました。
朝はゆっくり寝ておられ、日中は座ってテレビを見て、動くのはトイレに行く時ぐらい。
だんだん足腰が弱っていき、トイレに行くのも、奥様の肩に手を置いて立ち上がり、
手を引いてもらってトイレに行くほどまでに。

秋前に、デイサービスもやめてしまい・・・
このままでは寝たきりになってしまう。
奥様の心配もあり、何よりも本人も辛くなるだろう、ということで、歩行器を試してもらうことにしました。
最初は「要らない」というジェスチャーをされていたのですが、本人の身体状況に合うものを
選ぶため、家の前で試していただくことに。
2種類の歩行器を順番に試し、高さの調節や抑制ブレーキをかけるかの調節などで、
何度も試してもらったのですが、思った以上に頑張って、4往復もしてくれました。
疲れないかな?と思って尋ねると、ニコッと笑いながらOKサイン。
「この歩行器を使って、ヘルパーさんと外に出かけてね」と伝えると、またOKサインを出してくれました。

今まで、ヘルパーさんが外に出ようと声掛けしても、動こうとしてくれなかったI様ですが・・・
歩行器を使って歩くことが良かったのか、週1回のヘルパーさんが来る日は、いつもより早く起きて、
用意をして、ヘルパーさんが来るのを待ってくれているそうです。
私が訪問した際も、テレビの画面から目を離し、私の方を見てジェスチャーを交えながら、
ゆっくり話をしてくれるように。
表情も明るくなり、はにかんだ様な笑顔も時折見せてくれるようになりました。

奥様も「今までは会話が少なく、一方的に私が話をしていたし、トイレに行くのも手を引いて
行かなければならなかったが、この頃は歩けることで自信がついたのか、トイレに行くのも手伝わなくて
良いと言うし、ゆっくり自分で伝って歩いていくし、会話も少し増えた。私がいっぱい話しかけると、
お父さんも少し話をするようになってきて、会話をする時間が増えた」と喜んでおられます。

歩けることで自信がついたのか、ヘルパーさんが来るのを用意して待っている。
たとえ週1回だけでも、早く起きて用意をして待ってくれている。
奥様との会話も、少しずつ増えている。
トイレに行くのも、奥様の手を借りず、ご自身だけで頑張って行かれている。
歩行器一つを借りただけ。ただそれだけのことですが・・・
こんなにも、良い結果が出てきてくれた。
奥様も喜んでくださっていますが、私もケアマネとして本当に嬉しく思います。

「春にはお花見にも行けるといいなぁ~」と奥様が話されていました。
I様、春にお花見などへ行けると良いですね。