福祉でまちづくりを進める
社会福祉法人ヒューマンライツ福祉協会

難病の今後と支援方法について

パソコンを使いインターネットを通じていろんな人に出逢う。

今でこそ普通ですが、20年前ならかなり少数派ではなかったでしょうか。

 

ここに一人の青年がいます。この青年は「筋ジストロフィー(デュシェンヌ型)」という重い病気を抱えています。

「筋ジストロフィー(デュシェンヌ型)」とは幼少期から徐々に筋力低下が始まり、12歳前後には自力での歩行ができなくなり、20歳を過ぎると呼吸すらままならなくなる病気です。現在、根本的治療法は確立されていません。

 

彼は「最近いっぱい友達ができた!!」とにこやかに話し、か細い指を動かしてパソコンを操作します。なにやら楽しげです。

 

彼は非常に知識が豊富です。記憶力がすごいんです。特に兵器や軍事などに関しては同年代では群を抜いています。彼が愛読しているミリタリー雑誌を見ながら「この武器は第2次世界大戦中によく使用されていて…」など知識のない私に嬉しそうにひとつひとつ説明してくれます。

 

現在彼は26歳。日中は病院のベッドの上で過ごすことが多いです。週に何時間かはベッドから車イスに移り、リハビリや対話、それにパソコンやカラオケをしています。そして、月に一度外出できる日があります。私達が支援しているのは、その外出です。

 

外出では病院内やその周辺を散策したりしています。体力的に長時間は厳しいですが、1~2時間でしたら可能です。その外出時に色々なエピソードを話してくれます。そして「最近フェイスブックに登録して友達がいっぱいできた」と言って、連絡を取り合っている友達の話もしてくれます。その中には彼と同じ病気を抱えている方もいます。何かと弊害もあるインターネットですが、病院で過ごす彼らにとって非常に重要なツールになっています。

 

彼に一度、筋ジストロフィーについて聞いてみたことがある。すると「(筋ジストロフィーは)もうすぐ(医学の進歩で)治ると思う」とサラッと答える。続けて彼は「病気を治して結婚をしたい。そして、しあわせな家庭を作りたい」と言う。それが彼の今一番の望みです。

 

重度の障害を持つ方の生活や支援方法も今と昔では全く違って、日々過ごしやすくなってきています。そして、筋ジストロフィーの遺伝子治療も進歩しつつあります。その発展を願って…。